【日時】1月31日(土)~2月1日(日)
【行程】京都から奈良に入り、駅よりレンタカー移動
1/31(土)
1.飛鳥彩瑠璃の丘 天極堂(葛専門店)テラス:ランチ
2.ウェルネスフードUDA 訪問(薬草農家)
3.森野旧薬園
4.道の駅 宇陀路大宇陀
2/1(日)
5.ヒルトコ カフェ(大和当帰、地元野菜料理):ランチ
6.宇陀市歴史文化館 薬の館
【メンバー】美濃部、片岡(記)

【詳細】
1.飛鳥彩瑠璃の丘 天極堂
奈良で創業した吉野本葛の老舗で、140年以上にわたり葛づくりを続けてきた専門店。
伝統製法で仕上げた高品質な本葛を中心に、葛餅・葛湯・葛きりなどを展開。
葛料理、食後の時間に合わせて、作りたての葛餅が出される。



2. ウェルネスフードUDA 訪問
知人のご紹介で「ウェルネスフードUDA」代表 山口武様を訪ねた。
お話を聞くうち、多岐にわたり活躍されていることがわかった。以下はその一部。
・有限会社 山口農園 取締役会長
・株式会社テラス 代表取締役
・オーガニックアグリスクールNARA(山口農園アグリスクール)運営
・宇陀市薬草協議会発起人
・宇陀市有機農業参入促進協議会 幹事
・奈良県指導農業士
・有機JAS生産工程管理責任者
・叙勲受章(旭日単光章 農業振興功労) (令和7年春)


以降は、大和当帰の焙煎したお茶(セロリの香り)を頂きながら、お話をお聞きし、まとめたものです。

1)宇陀市と薬草文化の歴史的背景
・奈良県宇陀市は、推古天皇時代の「薬狩り」に遡る日本最古の薬草ゆかりの地。
・ロート製薬、ツムラ、アステラス製薬といった企業の創業者らがこの地から出ている。
・江戸時代以前からこの地では山に自生していた当帰などを採取していた。
2)山口さんの経歴概略
a)47歳で奈良県職員を早期退職後、家業の農業を継いだ。
・当初はホウレンソウ等の軟弱野菜栽培に従事。
・農協(JA)依存モデルは「価格決定権の欠如」と「消費者との断絶」を課題と考えていた。
・肥料や資材、出荷規格を規定される限界を打破するため、「製造業的農業」を提唱、実践。
b) 60歳で農園を息子へ経営を譲った。
・荒井奈良県知事が漢方メッカプロジェクトを推進。
・薬草をメインとした自社ブランド構築
3)地域コミュニティの雇用創出と次世代育成(叙勲受章につながった?)
a)組織化と経済的インパクト
・社員15〜16名(山口農園グループ)、地域の協力農家ら40〜50名のネットワークを構築。
・高齢化地域において、耕作放棄地の買取や、仕事をする/続ける環境の創出、生活基盤の維持に貢献。
・古民家を改修して、新鮮野菜と薬草を使ったその土地ならではのレストラン(ヒルトコカフェ)をオープン。
・地元の商品開発の相談なども行い地域に貢献。
b)就農支援:アグリスクール運営
・日本初の民間農業職業訓練校を立ち上げ、全国から就農者(最大50名)を受入れている。
・期間は1年、寝泊まり可能なマンションを用意し、実践の学びができる環境を整備。

c)資源の再発見
・農家にとって厄介な雑草としか認識しかなかった物を、薬草として再発見している。
・同時に、アトピー改善など有効な健康資源として、入浴剤やお茶、ハーブなどの商品化し販売。
・宇陀市内の温泉施設「あきののゆ」の「大和当帰の薬湯」も、施設の価値向上に貢献している。

4)多様な商品展開
大和当帰茶、キハダ、クロモジ、柿の葉、びわの葉、ヨモギ、レモングラスなどを原料に、様々な商品開発を行っている。パッケージなども、chatGPTなどを使い独自デザイン。
a) 入浴剤
・最も人気のある商品の一つ。健康志向のホテルなどにも出荷。
・市内の温泉施設「あきののゆ」にも提供。
・大和当帰の入浴剤「とうきかな」は、入浴剤を使ったお湯は、とても血行がよく身体が温まる事から「とうきの効用かな?」という言葉からつけられた商品名。




b) お茶(乾燥茶、焙煎茶)


c)その他加工品
天ぷら用の「当帰塩」など。
d) 化粧品原料
大和当帰やヨモギなどは血行を促進し保湿力を高める成分が含まれているため、化粧品メーカーやサロンへ提供。



e)その他他地域(東吉野村)との連携、パッケージデザインなどプロデユース


5) 流通
農協を通さず販売するため、自社でのブランド化を達成。独自ルートで販売。
・地元の道の駅や土産店、レストランなど
・ネット販売
・ホテルへ(入浴剤、お茶)
・銀座のレストラン「資生堂ファロ」へ食材のほか、料理演出用の「飾り葉・草花」を出荷。
6)大和当帰について
・大和当帰の「根」は医薬品として厳格に規制されているため、専門の卸問屋(ツムラ等)を通じて流通させる。
・一方で、規制対象外となった「葉・茎」を食品や化粧品原料として活用。
・栽培は、厳重管理はしていないが、従業員には「根」は薬事法の規制対象である事を徹底している。

3.森野旧薬園
※一部、文章はパンフレットなどから抜き出しています。
奈良県宇陀市・大宇陀の町並みは、重要伝統的建造物群保存地区として江戸の面影を残している。その一角に佇む「森野旧薬草園」(国指定史跡)は、日本最古の私設薬草園として約300年の歴史がある。



1)江戸時代から続く薬草研究の拠点
・徳川吉宗の薬種増殖政策に協力した森野家11代目・森野通貞が、幕府から渡された種子や自ら採集した植物を私有地に植えたことで始まった。
・通貞は1,000種以上の植物を写生した『松山草木写生図譜』(重要文化財)を残し、園は今もその頃の歴史を伝えている。
・現在も250種類以上の薬草が栽培されている。



2)2月の園内
・冬枯れの時期で、草を生やしているのは、ごく一部。(根を生薬としている物も多くある)
・吉野本葛の寒晒し:森野家が営む「森野吉野葛本舗」では、2月が寒晒しの最盛期。



3) 歴史を宿す建物と道具
・葛製造施設:現在も稼働する葛の晒し場、沈殿槽や精製設備が並び、極寒の地下水で澱粉を清める伝統技法が行われている。
・薬草加工の道具:麓の店舗や資料展示には、葛の根を砕く石臼や薬研などが残されている。
・桃岳庵:通貞が晩年を過ごし、写生と研究に没頭した隠居所



4.道の駅 宇陀路大宇陀
お土産品:葛粉、葛餅、葛きり、大和当帰のお茶、コーヒー、薬膳カレー、飴、入浴剤など
5.ヒルトコ カフェ
里山の静けさに包まれた心地よいカフェで、地元食材を活かしたランチやスイーツが楽しめる。大和当帰を使ったハンバーグがあり、香り豊かなハーブの風味を味わえました。



6.宇陀市歴史文化館 薬の館

以下、説明員の方のお話と展示物、パンフレットの内容をまとめたものです。1)宇陀は日本の薬草文化の中心地
・奈良県宇陀は、単なる薬草産地ではなく、古来より薬草が集積する国家的拠点でした。
・吉野で採れた薬草は宇陀に集められ、江戸の小石川薬園や駒場などへ送られていました。
・こうした役割から宇陀は日本三大薬園の一つとされ、後の近代製薬産業の基盤となりました。
2) 日本書紀に記されている推古天皇の「薬狩り」と水銀信仰
・611年、推古天皇が阿紀野で日本最初の薬狩りを行ったことが宇陀の医薬史の始まり。
・薬草採取は国家安寧を祈る神事であり、柿本人麻呂も同行した。
・宇陀周辺には水銀鉱脈があり、水銀は霊薬として神聖視された。
・薬草と水銀という二つの資源が共存する特異な土地性が、宇陀を医薬の聖地にした。
3) 民間産業の発展:カタクリと薬種問屋
・薬草文化はやがて産業へと発展した。
・宇陀で発見されたカタクリの根は片栗粉の起源となり、江戸で高く評価された。
・江戸時代には農家が副業で薬草栽培を行い、薬の知識が地域に広がり、多くの薬種問屋が誕生。
・1806年創業の問屋は独自の腹薬を開発し、宇陀は「薬草栽培地」から「製薬地」へと進化した。
4)近代製薬企業の源流としての宇陀
・宇陀は人材面でも日本の医薬に大きく貢献した。
・藤沢薬品(現アステラス)、ロート製薬、ツムラなどの創業者は宇陀の出身で、薬草文化の中で育った。
・こうした貴重な文化ですが、昨年に最後の漢方薬局が閉店してしまった。




昨年、最後の1件が無くなってしまった。

